九州オルレ 福岡・新宮コース

2023年12月09日土曜日、数か月前の夏の暑い最中、たまたま西鉄新宮駅に寄ったら、九州オルレ福岡・新宮コースのパンフレットを目にした。徐にパンフレットを手に取り、中を覗いてみると、佐屋バス停から西鉄新宮駅までを延々と歩き続けるハイキングコースの紹介みたいだ。約12キロもあるこのコース。この暑い最中、とてつもなく汗をかくだろうし、虫嫌いな私にとって山の中、しかも藪の中は虫もたくさんいるだろうからと、パンフレットを持ち帰りながらも放っておいた。そして冬の今日を迎えた。無茶苦茶天気が良く清々しい朝に、再び、このパンフレットを思い出し、手に取って眺め出す。歩くなら今日しかないなあと思い、徐にハイキングの準備をし出す。コミュニティバスの時間を調べると、佐屋行きバスは、三代西を7時台に到着予定だ。現在6時50分、誘われるように、急いで三代西バス停まで向かった。待つこと、5分。佐屋行きバスが定刻通り、到着。バスの中を覗いてみると、大勢の学生が乗っていた。多分、通学の為にバスを利用しているのだろう。途中のバス停で、全員が降りだした。終着まで乗り続けるのは、私だけみたいだ。バスは走り続けること、7時30分台には無事、佐屋バス停留所に到着した。お客は私一人だけ。運転手が先を促すように、バスの扉を開いた。ステップを降り、見知らぬバス停に降り立った。ここから長い旅の始まりだ。

ふと停留所横を見ると、九州オルレの看板が掲げられていた。この看板を眺めながら、コースの流れをつかんで行く。ある程度把握した時点でいざ出発。頼りなげに歩き出すと、ポイント、ポイントに矢印の標識が立っていた。立ち止まり、パンフレットを急いで確認。すると、この標識は各分岐点に建てられているみたいで、矢印の色は青が往路、赤が復路みたいだ。そして旗も行く先々で立っている。これは、道案内の役目をしているみたいだ。カンセという馬のオブジェは中継地点で、この馬の頭の方向に進めばゴールへと向かえる。ある程度理解すれば、怖い物無し。九州自動車道の高架下を潜り抜けると、早速、標識があった。標識によると、右へと登って行くみたいだ。そのまま、隣の九州自動車道と平行に歩いていく。坂を登り切った所で、右側に歩道橋があったが、標識も何もないので、そのまま渡らずにまっすぐ先へと進んで行った。

暫く歩き、左右を見渡すと、標識がみつかった。どうも標識は藪の中へと案内しているみたいだ。仕方なく藪の中をかき分け、さらに進んで行くと、標識はさらに、藪の中へ中へと案内している。藪をよけながら虫がいないことを祈りつつ、渋々、奥へと入って行く。すると、急に藪が開け、道端へと抜けれた。そして、いつのまにか「桜が見える丘」の看板が見えてきた。解放感に浸りながら、ここで一旦休憩。看板にある寝太郎山、奥深立山、犬鳴山を望みながら一時を過ごした。次は、小高い丘を登るみたいだ。小高い丘を登り切ると、再び看板が見えてきた。看板には、「立花山を望む丘」と書かれている。看板の向こう側を眺めると、颯爽とそびえる立花山を目にすることができた。思いっきり息を吸い込み、そびえる立花山を見上げた。

ひと段落したところで、次の目的地へと歩き出す。解放された道を暫く歩き続けると、何やら標識は又、藪の中へと誘っている。又、藪の中かあと、落胆の色を残し、渋々藪の奥へと進む。されど、今度の藪は竹藪みたいで、少しは日差しも見えているので、先ほどの藪よりましに思えた。朽ちた竹を避けながら、暫く歩き続け続けると、又一気に解放された。

竹藪の中から抜け出ると、目の前は長く長く続く、舗装された道が用意されていた。思わずスキップしながら、周りの景色をゆっくりと眺めてみる。標識は何処までも舗装された道を案内し続けた。が、世の中そう甘くはないものだ。再び、竹藪が待っていた。

慣れない竹藪の中へと入って行くと、すぐ近くに車の音が聞こえるではないか。思わず標識を辿りながら、突き進んで行くと、車が通る道路が目の前に広がった。行き交う車の騒めきを聞いてると、何だか安心するのは、現代病の一種?乾いた道路の脇を歩き続けると、標識は又、竹藪の中へと誘いだした。が、どうも民家が建ち並んでいるみたいだ。
民家を横目に舗装された道を歩き続ける。

民家の脇を歩き続けると、再び、車が通る道路へと降り立った。道路に出たり、入ったりと面倒だなあと思ったが、コースになっている以上、仕方がないと、愚痴りながらも、目の前の青い標識を見つめる。標識は道路脇を真っ直ぐ歩くよう案内しているみたいだ。再び、道路脇を歩きだす。数分で立花口のバス停に出会った。このバス停を通り越し、
建ち並ぶ民家の中へと曲がって行くと、古い街並みが用意されていた。ノスタルジックな景観を眺めながら、緩やかな登り道をのんびりと歩き続ける。

立花山入口の方へと歩いていくと、小綺麗な佇まいのお店が見えてきた。「こみんかみかん」というお店みたいだ。パンフレットによると、オルレ記念スタンプ設置場所みたいなので、早速、中へと入っていく。すると、スタンプが目の前にあったので、早速、押してみる。辺りを見回すと、奥に座敷があったので、旅の疲れを癒す為、奥座敷で寛いでみた。机の上にパンフレットを広げ、眺めてみると、ここまでの距離は約3.1キロメール。ゴールまでの距離をまだ1/4しか歩いていないことになる。まだまだ先は長すぎる。ここのお店の人は九州オルレの新宮コースのプロデューサーみたいなので、このコースを歩いた人は、皆さんゴールまで、制覇しているのかを聞いてみた。皆さんゆっくり歩きながらも、制覇しているとの事。深いため息をつきながらも、ゆっくり寛いだ後、旅の準備をし、中盤目掛けて颯爽と店を出た。

「こみんかみかん」で食事を済ませたあと、本来なら昼寝をしたいところだが、ここは鞭打って、店の玄関を出る。そして下り坂を一気に駆け下りること五分。車道が目の前に。ここからは車道と平行に歩き出し、六所神社へと向かい出した。すぐに六所神社の鳥居が見えてきた。早速、鳥居を潜りだすと、六社神社の境内へと入って行く。社に着いたらなら、お賽銭をお渡しし、旅の安全を祈願する。

お参りの後、ふと社の裏手を見つめると、長い階段があったので、登ってみた。息を切らしながらも階段を登りきると、再び、社が建てられているではないか。何の社かとインターネットで調べてみると、ここが六社神社の本殿らしい。早速、お賽銭をお渡しし、再び、旅の安全を祈願する。祈願が終わると、すぐに車道へと向かって行った。車道を出たら、独鈷寺へ向かう階段があったが、先を急ぐので、ここは申し訳ないが素通りさせてもらった。

信号に差し掛かった処で、右に行けば花立花方面、左に行けば立花小学校方面だが、前もって「こみんかみかん」の店長さんに聞いたところ、ここは真っ直ぐ山に向かうという事が解っていたので、習って山方面へと向かった。山道を登りながらも、標識は奥へ奥へと案内しているので、指示されるがままに、竹藪の奥へ奥へと入って行く。暫くすると、山を突き切ったところで、竹藪が開け、新宮町を一望できる山の頂上に差し掛かった。ふと、周りを見ると、ここにカンセが建てられている。「しんぐう愛の丘」と何ともロマンチックな名前の看板だこと。ここで一息、休憩しながら、新宮町を眺めた。遠く相島も見え、近代的な街並みも見渡せる。

一息、「しんぐう愛の丘」での休憩を済ませると、再び歩き出す。見たところ、ずっと下り坂みたいだったので、一気に駆け下りて行った。すると、道路工事中の現場に出くわした。ここは丁度、三代と的野を結ぶ道路整備工事中みたいだ。ここで標識は、工事現場を避けるように、右へ右へと通常コースを外れている。おかげで、「太閤水」と、「夫婦子守大明神」の見学はお預けだ。回り道をしながらも、標識通り、突き進んで行くと、遠くに博多東幼稚園が見えた。やっと、日頃、ウォーキングで歩き回っている個所に着いた。パンフレットを広げ、眺めてみると、ここまでの距離は約5.9キロメール。ゴールまでの距離をやっと1/2歩いたことになる。あと半分。気が遠くなりそうだが、いつものウォーキングコースなので、比較的気分は楽だ。

新宮町シルバー人材センター横の道、住宅街を通り抜けると、小竹下府線の脇道が見えてきた。その脇道を突き切ると、コンクリート塀前に、標識が立っている。標識は左方向を差している。言われるままに、左の細道を通り抜けると、ヤマダ電機の建物が見えてきた。次は三号線高架下だ。そのまま、三号線高架下をすり抜けていく。

高架下をすり抜けると、標識は沖田公園へと誘っている。歩きながら見上げていくと、近代的なビルばかりが建ち並ぶ。まるで、エヴァンゲリオンに出てくる第3新東京市移住計画地みたいだ。今までの立花山付近から別世界を思わせる。沖田公園内をゆっくり歩き進めていくと、いつのまにか新宮中央駅が目の前に聳え立つ。新宮中央駅待合室で休憩しようと、ここからは急いで駅に向かい、エスカレーターに乗った。

待合室で、休憩を取りながら再び、パンフレットを広げる。ここまでの距離は約8.9キロメール。ゴールまでの距離をやっと3/4歩いたことになる。あと少し、あと少し。と体中に言い聞かせ、冷たい飲み物で体中を潤わせる。数分休んだあとは、すっくと立ち上がり、新宮中央駅の西口階段へと向かった。新宮中央駅を出ると、これからは新宮海岸線へと進む。新宮町役場、新宮高校、杜の宮住宅地を素通りして進んで行くと、松林が見えてきた。標識は、そのまま真っ直ぐ松林の中へと誘っている。

松林をかき分け、そのまま標識の指す方向へと進んで行くと、ひっそりとカンセが建てられていた。看板は、「楯の松原」と書いてある。ゴールまであと一息だ。どこも松林に囲まれているので、迷子になりそうだが、標識を頼りに、奥へ奥へと進んで行く。

松林の中を歩いていると、近くで波の騒めきの音と、白い砂浜が見えてきた。急いで砂浜へと駆け下り、壮大な海を眺める。ここにもカンセが建てられていた。看板は、「新宮海岸」と書いてある。このままカンセの指し示すように、砂浜を歩き続ければいいのだが、1分でも早くゴールに着きたかったので、ずるをして新宮神社への方向へと曲がった。

新宮神社の鳥居は潜らず、そのまま写真だけを納め、ゴールの西鉄新宮駅に無事到着。足元のカンセの看板は、「西鉄新宮駅」と書いてある。駅構内で休憩を取りながら再び、パンフレットを広げる。ここまでの距離は約11.9キロメール。多少ずるはしたけど、良しとしようと自分に言い聞かせる。朝から歩いた九州オルレの旅も、丁度、日も西に傾き始めた事だし、終わりとしよう。あとは、コミュニティバスで、のんびりと、ふくらはぎをマッサージしながら帰路へと向かう。

※このページの写真群は、ワードプレスの講義で、作成した「新宮探訪」というホームページで載せた写真群をそのまま再利用しました。